MTシステム問答・基礎編⑦
こうして眺めてみると、たしかにどの列の数値もだいたい似たような値だ。
こうすることで、文字のパターンがうまく数値化できそうだということが分りますね。
「できそうだ」か。まだ自信はないんだ。
この段階ではまだ自信はありません。しかし、この方法は結構いろいろなことに使えることが分っています。コンピュータは数値を扱う機械ですから、とにかく全部のことを数値に直さなければなりません。
それで、こうした石の数え方はいろいろな問題に使うことができることが分かっています。
え、石の置かれ方を数える方法がいろいろなことに使えるの?
はい。田口博士は数十年に渡る実際のものづくりの経験から、現象を共通に説明する数多くの性質や枠組みを見出しました。石の数え方も、それらの中の一つです。そしてそれは単に文字などのパターンだけではありません。コンビニの弁当売上予測でも利用できます。
ちょっと待ってくれ。なにか、これ以上は私のような人間が立ち入るのがはばかられるような気がする。だいたい、石の数え方がほかのいろいろのことに使えるなんて、想像もできないよ。弁当の売上とどう関係するのか、本当に想像もつかない。
いや、そんなことはありません。コロンブスの卵みたいなところがあります。地図を見せられれば、「なーんだ、それならかんたんだ」ということです。高校で勉強した微積分よりはるかに簡単です。
私は文科系人間だから、微分なんてすっかり忘れたし、だいたい数学の授業に関して良い思い出なんてないよ。テストは成績順に返されて、私はいつも最後の方だった。
さっきから、自信が付きそうになったり、消えたりですね。さきほどの、コンビニの売上の例を使って説明しましょう。
自信なんていつまでも付きそうにはないよ。まあ、弁当の売上と石の数え方を教えてくれ。
では、再開します。
明日の弁当の売上を決める、あるいは決めることになりそうな要素ってたくさんありますね。曜日、天気、気温、季節、コンビニ周辺の人口構成、イベントの有無などです。
うわ。たしかに、「天気やピクニックと売上が関係ありそうだ」とは言ったけど、周辺の人口構成なんて言わなかったぞ。弁当の売上を予測するのに、そんなことまで考えなければならないのか?
周辺にどういった人々が住んでいるかも、弁当売上に関係しそうですよね。小さい子供が多い場合や、ワンルームマンションが多いなどもおおいに関係しそうです。関係しそうな要素を一つひとつ、できるだけたくさん挙げるんです。個別に考えればいい。たくさんのことをいっぺんに考えようとする必要はありません。こうした問題は、一つひとつの要素の積み上げです。一つの扱い方が分れば、あとは皆同じです。こういうことは文科系の人の方が得意だと思いますよ。弁当の売上と関係ありそうな要素を、家族や仲間と一緒に知恵を絞って揃えてみるのが第一歩です。
ふー。じゃあ一つ選ぶから、それを例題に説明して・・・一番分かりやすそうな気温がいい。
気温ですね。気温は弁当の売上と関係が大きそうですよね。寒い日は暖かい弁当が売れそうだし、あまり暑いとサンドイッチとジュースの組合せの方が売れそうな感じがします。
・・・
気温は季節により、また時間により上がったり下がったりします。この上がり下がりの様子を数値化する必要が出てきます。
ちょっと待って。気温なんて、もともとが値じゃないの?
確かにそうですが、上がったり下がったり、またその変化が急なのか緩やかなのかの特徴をうまく捉えなければなりません。
うーん。値だけで分らないのかなあ。よく理解できない。